KL°KL株式会社次世代半導体実装技術

TGV技術・研究開発

TGVの基本構造、材料選定、要求仕様、重点開発課題と試産指標。ガラスコア基板の技術開発方針をご紹介します。

TGVの構造と用途

TGV(ガラス貫通孔)は、ガラスに形成した微細孔に導電部を設け、基板の表裏を接続する技術です。ガラスコア基板では、TGVと表面配線・絶縁層を組み合わせ、半導体実装に必要な接続構造をつくります。

低損失、熱膨張の整合性、大面積化への適性は、材料の配合や基板寸法、加工条件によって変わります。採用材料と試験片での確認を基本とします。

金属化した貫通孔の断面参考画像
貫通孔金属化の断面参考例。KL株式会社の試作実績ではありません。

銅充填型と孔壁めっき型

銅充填型は孔内部を銅で満たし、孔壁めっき型は孔の内壁に銅膜を形成する断面比較図
断面の模式図。縮尺は任意で、密着層・シード層などは省略しています。
TGV構造の比較
比較項目銅充填型孔壁めっき型
導電部孔断面の大部分を銅で構成孔壁に沿う銅膜で構成
主な管理点内部空洞、充填継ぎ目、過剰銅厚孔中央の最小膜厚、連続性
設計上の比較抵抗・放熱と熱応力の両立銅量低減と抵抗・電流容量の両立
後工程平坦化と銅突出の管理開口部と必要な樹脂充填の管理

実装用チップ、はんだ接合、封止材を含む製品認定は、基板の工程評価とは別に設定します。

要求仕様と測定条件

板厚、入口径、出口径、最小径、ピッチを区別します。アスペクト比は原則として「板厚 ÷ 最小孔径」で比較し、入口径を用いる場合は明記します。砂時計形状の孔は、入口だけでは加工難度を判断できません。

初回試作の要求仕様
仕様の分類確認する項目
ガラス・外形組成、板厚、TTV、基板寸法、端部余白、反り
TGV形状入口径、出口径、最小径、ピッチ、テーパー、孔壁状態
配線・積層パッド径、線幅・線間隔、絶縁層厚さ、各面の配線層数、総金属層数
材料特性熱膨張係数、誘電率・誘電正接と測定周波数、転移温度、弾性特性、化学耐性
初回評価用の設計例
300µm/板厚50µm/最小径100µm/ピッチ6アスペクト比

説明用の試験片例です。製品仕様・実測結果ではなく、調達可能性と工程能力を確認して確定します。

重点開発課題

孔形状と充填条件の連携

孔中央径・テーパーに応じた条件の選択が、充填品質に与える影響を検証。固定条件と形状別条件を、空洞・処理時間・過剰銅の観点で比較します。

界面と熱履歴の整合

初期密着と残留応力を同時に管理し、負荷後の損傷低減を検討。密着、反り、亀裂、抵抗変化を同一試験片で追跡します。

位置情報による工程補正

面内分布の偏りを工程履歴に結び付け、ばらつきの低減を検討。中央・周辺の差と独立ロットでの再現性を比較します。

これらは開発課題であり、独創性・特許性・量産性能を既に実証したものではありません。

断面・微細形状の観察例

微細パターンの観察の参考画像
微細パターンの観察線幅・形状・残膜の評価
TGV断面の観察の参考画像
TGV断面の観察孔径・テーパー・孔壁の評価
貫通孔金属化の観察の参考画像
貫通孔金属化の観察被覆・充填状態・連続性の評価

画像は提供技術資料に掲載された参考例です。画像中の寸法・測定値を当社の保証仕様として扱いません。

実験計画と試産移行

硝材と孔形状を固定してシード方式またはめっき方式を比較し、主因子を絞って条件範囲を探索します。処理順の無作為化、浴の経時変化、基板ロットの区分によって、条件の効果と時間変化を分離します。

例えば、表面処理とシード条件を各2水準とした4条件を、独立した3基板で繰り返す場合は12基板となります。同一基板内の多数孔は位置分布の評価に使い、独立した製造反復とは数えません。

試産移行で確認する指標
指標定義・扱い
初回合格率再加工前の合格数 ÷ 投入数。再加工後の出荷歩留まりと区別します。
総合歩留まり同じ母集団の最終良品数 ÷ 投入数。孔単位と基板単位を区別します。
良品原価材料・加工・検査・再加工・廃棄の総額 ÷ 出荷可能良品数。
工程能力工程安定性と測定能力を確認した後に評価。仕様限界と管理限界を区別します。

抵抗・歩留まりの計算例

寸法と抵抗の計算例

板厚300 µm、直径50 µmの円柱状銅充填を仮定し、説明用の銅抵抗率を1.68 × 10⁻⁸ Ω·mとすると、R = ρL/Aから約2.57 mΩです。同じ外径で孔壁銅厚5 µmとした場合は約7.13 mΩとなります。

常温の一様導体を仮定した計算値であり、実測値ではありません。実際には銅の物性、くびれ、界面、パッド、温度、周波数の影響が加わります。

多数孔と基板歩留まりの関係

説明用に孔ごとの良品確率を99.99%、孔数を10,000、各孔を独立とすると、全孔良品確率は0.9999¹⁰⁰⁰⁰ ≈ 36.8%です。

実績予測ではありません。実製品には共通原因による相関不良があり、基板単位の実測が必要です。

参考文献

公開技術・参考文献を見る(10件)
  1. AGC|微細孔付きガラス基板 ↗材料・孔形状・公開仕様
  2. 日本電気硝子|TGVガラスコア基板 ↗材料とレーザー加工方式
  3. Noackほか|TGV孔壁品質とLIDE加工 ↗レーザー改質・選択エッチング
  4. 高山昌敏ほか|TGVへのCu皮膜形成 ↗乾式・湿式併用の金属化
  5. MKS/Atotech|ガラス基板向け湿式金属化 ↗界面処理・シード・充填
  6. Fiedlerほか|逆パルス銅充填 ↗充填波形・内部評価
  7. Ikumotoほか|電気銅めっき工程 ↗中央ブリッジと充填
  8. 大日本印刷|TGVパイロットライン ↗銅充填型・孔壁めっき型
  9. Zhaoほか|熱機械信頼性の研究 ↗熱応力・亀裂・緩衝層
  10. ディスコ|ガラス加工技術 ↗ブレード・研削・レーザー加工

2026年9月14日付の技術付録に記載された参照先です。各社・各著者の成果と当社の開発目標を区別して参照します。

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